ブックタイトル広報あぐに5号

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概要

広報あぐに5号

●広報あぐに(平成5年春期号)わたしの場合精神科医・作家齋藤茂太(上)私は医者ですから、健康を保つことについては、理論的によく分かっているつもりですが、なかなか思っているとおりにはなりませんですね。その最たるものが、肥満ですよ。これでも、若いころは、たいへんスリムな青年だったんですよ。ところが、四十二歳の厄年にたばこをやめてから太りに太った。ついに八十キロの大台にのってしまい、食事を制限したり、体操教室に迦ったり、それは涙ぐましい努力をしました。一時は七十五キロまで落ちたんですが、また、八十キロあたりをウロウロしちやっててね。でも、いまは、まあ開き直りですな。無理に減量をしても仕方がないと、もう半ばあきらめですな。ふだんから病気とうまくつき合うのが大切私は、ちょっと目には健康そのものに見えるらしいんですが、実は「病気の問屋」みたいなものでしてね。ここ十年来のアレルギー症、それから前立腺肥大で入院したこともあります。現在は、ひざと肩の痛み、ストレスからくる不整脈、最近は目に加えて右の耳が、ずいぶん聞こえにくくなりました。無理をしてしまいますからね。要は、少々の病気ではあんまり大騒ぎをしないで、ふだんからうまく付き合うことが大事ですな。もちろん、こりゃダメだと思ったら、早めに医者に診てもらわなければなりませんが、くよくよしたところで始まりませんからね。高齢化社会と言われている昨今、「一病息災」では、間に合わない。最近、色祇に何か書いてくれと頼まれると「数病息災」と書くことにし「数病息災」健康に役立っているが私は肩が痛いときは、「あっ、イタタタッ、いや、三士肩でしてね」なんて、ジョークで笑い飛ばしてしう。それから、ひざが少々痛くても、階ていますよ。でもね、この「数病息災」が、私の健康のために役に立つている。もしも、私か何の病気もなくてピンピンしていたら、かえって段をヒョイと上がって、カッコいいところを見せようとするんですよ。そうすれば、病気も、こちらにちやんと合わせてくれるものですよ。できるだけ野菜を食べるようにしているやはり年をとるごとに、食生活にも気を配るようになりましたね。若いときのように、がむしゃらに肉を食べなくなった。一週間をみてみると、肉料理より、魚料理を食べる回数を増やしています。また、野菜をできるだけ食べるように心かけていますね。植物性たんぱく質は、コレステロールを抑えるレシチンという物質を含んでいますから、高齢になるにつれて、檣物性たんぱく質を摂取する割合を増やしたほうがいい。特に大豆がいいですな。納豆や豆腐、これは、健康を支えてくれる最高の食べ物ですよ。齊藤茂太さん略歴[さいとう・しげた]大正五年三月二十一日、東京生まれ。七十七歳。精神科医、エッセイスト。歌人で精神科医でもあった斉藤茂吉の長男で、作家・北杜夫の実兄。斉藤病院院長として精神医療に従事するかたわら、著述活動も盛ん。「茂吉の体臭」「快妻物語」などで、多くのファンをつかんだ。昭和五十五年に発刊した「長男の本」は、ベストセラーになった。このほかにも著書多数。現在、日本精神病院協会名誉会長のほか、アルコール健康医学協会会長、日本ペンクラブ理事、日本旅行作家協会会長。若さの秘密10(談)